あるきながらあるき①コアコレクティブ

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「歩くこと」というメタファーは、わたしたちが歩くときに再び血肉を取り戻す。人生は旅だ。ならば現実に旅するとき、人生は手の先で触れられるものとなる。目指す目的地。目にみえる前進。身をもって知る達成。行為とメタファーは、そこでひとつになっている。迷宮、巡礼、登山、そして適切かつ明確な目的地を目指すハイキングなどはすべて、わたしたちが自らに与えられた時間を現実の旅として捉える機会であり、そこには、五感を通じて触れることのできるものとして精神の次元が存在している。旅と歩行がメタファーの核にある。とすれば、あらゆる旅と歩行は、迷路や儀式ほどに強烈ではないにせよ、それらと同じ象徴の空間へとわたしたちを導いているのだ。『ウォークス』 レベッカソルニット

前々から読まなければならないと思っていた本にやっと着手することができたのもコアコレクティブの皆様のおかげです。

 

今回は歩くことを、踊ってみようと思う。もしかしたらただただ「あるく」だけの作品になってしまうかもしれないけれども。

そして、日々の歩きを記録していこうと思う。その日々の歩きがそのまま振付になるように。

 

メタファーを実際に行動に起こしたときに血肉を取り戻すというソルニットの主張は歩くだけの作品になるであろう私の踊りに少し勇気をくれる。私が歩いたときに手の先で触れられるものは何だろうか。

そういえば紡ぐという振付をよく踊るのも実際に羊毛を紡いでからだ。ふわふわした羊毛から少しだけ毛をねじり、スピンドルに絡ませる。そしてスピンドルを回しふわふわの羊毛が一本の糸になる。あの経験をしてから紡ぐ身体が入った気がする。もしかしたら紡ぐも踊るかもしれない。丁寧に即興を重ねていこう。